〈仮想通貨から見る時代の変遷〉
仮想通貨は今回もブームで終わるのか?
答えはこれから始まります。
数年前にTVやネットニュース等でも大きく取り上げられて話題が沸騰していた仮想通貨ですが、ここ最近また少しづつ注目を集めています。
仮想通貨とは法定通貨とは異なり、強制通用力を持たず特定の国家による裏付けの無いものの事を呼びます。広義ではスマホなどのゲーム内の課金用コインなども含まれる。(Wikipediaより)
代表的な仮想通貨といえばやはり「ビットコイン」ですね!
ここでは主に代表的な仮想通貨である「ビットコインのこれから」について触れて行きます。
日本でも「資金決済に関する法律」において仮想通貨の定義が導入された事により、呼び名も、仮想通貨から暗号資産と改正される予定だそうです。
何故また仮想通貨(ビットコイン)が注目を集めているのか?
数年前(2017年)のブームでは多くの芸能人なども参入し、仮想通貨が世間を賑わしていましたが、仮想通貨の大手取引所であるコインチェックが外部からのハッキングを受け、580億円相当の仮想通貨「NEM」が盗難される事件を引き金に、仮想通貨バブルが弾けた事でブームに終焉を迎えました。
では何故また仮想通貨が注目を集めているのでしょうか?その理由を以下の3点にまとめてみました
①新興国でニーズが広がりつつある
②新たな付加価値によるニーズの拡大
③機関投資家や米国大企業の参入
それぞれについて解説して行きます。
①新興国でニーズが広がりつつある
実はコロナウィルス(COVID-19)によるパンデミックの影響もあるようです。
今回のコロナの影響により、多くの国が経済的に大打撃を受けました。
特に新興国ではその痛みは計り知れません。こう言った状況の中、それぞれの国は経済が回復するように自国通貨を「財的金融緩和」などの名目で発行して増やしています。法的通貨を多く発行すれば、一時的に経済は持ち直しますが通貨の価値が落ちる事でインフレの危険も上がってくるのです。
経済がそのまま持ち直せば、通貨の価値を取り戻す事が出来ますが、そうでない場合は最悪国が破産『デフォルト』する事になります。
記憶に新しいのはギリシャの金融危機ですね。また今回のコロナ(CIVID-19)の影響で多くの国の外貨準備高が大幅に減少や債務の増加で財政危機に直面しつつあります。
例えばアルゼンチンでは、過去10年のドル・ペソの値動きが95%も下落しています。これではいくらペソを貯金しても資産として残りません。
それでは自国通貨の価値が信用出来なくなった場合、その国民はどの様に資産を残せば良いのでしょうか?日本においては高度経済成長期に於いてめざましい発展をとげ、円の価値を一定水準を守っているので、貯金をしていればその価値が減り続ける事はありません。100万円を銀行に貯金していれば10年後もその価値はおそらく100万円です。
しかし、こう言った国々の人は自国通貨の価値が減り続けるリスクがあります。100万円貯金しても50万円になったり、最悪通過の価値自体がなくなるなんてことも起こりえます。そこで金や銀、仮想通貨で資産を残そうと考えているのです。昔から結婚の際に花嫁に金の装飾品を持たせる文化がある国もあります。でも金は換金性や強盗のリスクもありますよね?ですからビットコインなど換金性が高い手段で資産を残そうとする人たちが増えているのも事実です。
②新たな付加価値によるニーズの拡大
2020年10月にペイパルはビットコインをはじめ4種類の仮想通貨による支払いサービスを米国内で開始すると発表しました。また2021年初めにはペイパル加盟店2800万店舗でビットコインによる支払い決済を使えるようにすると発表しています。ペイパルのユーザー数は世界中に3億2500万人いると言われています。
今後ペイパルのユーザーはペイパルのサービス内でビットコインなどの仮想通貨を売ったり買ったり出来るだけでなく、法定通貨に交換することも出来るようになります。
これは今までの投機目的の手段だった仮想通貨に決済機能を持たせる事で、新たな付加価値を付ける事になります。ペイパルCEOのSchulman氏は「仮想通貨の有用性を大幅に強化する事になるだろう」と話しています。
③機関投資家や米国大企業の参入
今年に入り多くの機関投資家や米国の巨大企業がビットコインに注目をしています。2020年8月にはナスダック上場のマイクロストラテジーが450億円相当のビットコインを購入したと発表したり、10月にはモバイル決済サービスのスクエアが53億円相当のビットコインを購入したと発表しました。これらの企業の目的はインフレに対するリスクヘッジを行っているのです。
コロナ禍のなかで多くの国は金融緩和を行い通貨の量を増やしてきました。そしてその通貨の価値が下がって行く中で、ヘッジ先としてビットコインが広まってきているのです。ビットコインに資産価値を見出し保有する人が多くなればなる程、ビットコインの価値は安定してきます。これはメトカーフの法則と言って「ネットワークの価値はユーザー数の2乗に比例する」という法則に当てはまります。
まとめ
現状ではまだまだ値動きの激しいビットコインですが、2020年はビットコインがようやく資産価値として認められ始めた年といっても過言ではありません。
数年前(2017年)の仮想通貨バブルが投機目的による価格の上昇だとすれば、今回の値動きは資産価値としての上昇と捉える事ができます。この値動きが安定してくれば株や債権などと同じように、将来へのリスクヘッジとしての「資産の一つ」としてビットコインが残るはずです。2020年はビットコインがようやく「これから始まる」年となったのです。
現在は一部の人を除きまだまだ仮想通貨の認知度も低く、実用性もあまりない状況です。しかし、今後もし仮想通貨による決済が広まり、世界中で多くの人が利用するようになれば、その価格も安定し共通通貨としての展望も見えてきます。2020年はもしかしたらそんな未来の転換点になる可能性が仮想通貨にはあるのです。